「ん……とね、どんな理由があるのかは知らないけれど、あたし……人を騙すとか、そういうことはしないから」

そう言って、あたしはこの依頼を断ろうと思った。

わずらわしいことは嫌いだし、ましてや人を騙したことで、この学園に変な噂が流れたりすれば、来年のミスコンにも響く。

何ひとつ、いいことなんてないと判断したからだ。

「お願いです!! あいつを騙せるのは、美和先輩しかいないんです!!」

すがりついて、今にも泣き出しそうな表情をする美緒ちゃん。

この場から去ろうとしていたあたしは、深いため息をついて直子と太一に助けを求めた。