「如月さん、おはようございます!!」
「如月さん、お菓子を作ったのでぜひ食べて下さい!!」
私は如月葉月。
まあ自分で言うのもなんだけど、朝からこうやっていろんな人から声をかけられる人気者。
凛とした整った顔、さらさらとした長い黒髪、気品あふれる動作、手足の長いすらっとしたスタイル。
外ではおしとやかで優しくてしっかり者のきれいなお嬢様、というキャラだ。
「おはようございます、はなさん」
「お菓子ありがとうございます。おいしくいただきます。」
もらったお菓子を見る。
なんだコレ。
クッキーにしその葉だの梅干しだの、あらぬものがたくさん入っている。
「如月さんは和食が好みだと聞いたので、自分なりにアレンジしてみました。」
いや、別に和食が好きってことはない。
きっと使用人が健康に気を遣ってよく弁当を和食にするから、和食が好きと思いこんだのだろう。
にしてもこんなもの食べられるわけがない。
あとで捨てよう。
「あの……、食べてみてください!今すぐ感想を聞きたいです!」
はぁ……。
きらきらした目で見られると断れない。
一口食べてみる。
……なんつーか……予想通りだ。
クッキーのほんのりと甘い味にしその苦い味や梅干しの酸味があっていない。