ずっとしまったままだった。
返そうにもあの日以来あの人に会うことはなかったんだから。


顔ももうほとんど覚えていない。
雰囲気くらいしか・・・。



「なんだそれは」

「・・・ハンカチ。昔、怪我をした時に貸してもらったんです」




信長さまにそう答えると、ハンカチを開いてみる。
ハンカチの隅に綺麗な刺繍が入れてあるのを見つけた。



「T.K・・・」



イニシャル、だよね。
名前、なんていうんだろう。


もう、会えないのかな・・・。