「おい」

「は、はいっ!?」

「捕まえろと言ったはずだが?」




信長さまがさっきまで瀬名くんに向けていた視線を私に向ける。
こ、怖い~!!




「そ、そんなの、無理ですよ!」

「逃げる、とはどういうことだ?」

「それは・・・」




サーッと血の気が引いていく。
怖い・・・。

捕まる前に逃げ切るべきだったんだわ。




「わ、私だって、もうこんな事に振り回されたくないんです!平凡がいいんです!何事もなく毎日を過ごしたいんです!」

「俺が見えるのは、お前しかいないんだ。お前には妖の姿も見える。これからも、俺のために動け」

「なっ、そんな!ひどすぎる!」

「うるさい。帰るぞ」



全く聞く耳を持たない信長さま。
今に始まったことではないけれど。
ああもう、嫌!