「すずっ!」
突然の声。
次の瞬間、私の身体は信長さまに抱きかかえられ後方へ飛びのいた。
見た目にはわからなかったけど、信長さまの身体はがっちりと無駄なく筋肉がついている。
力強い腕に、思わず胸がドクンと鳴った。
近づく顔に、よく見ればやっぱりイケメンだ。
って、こんな時になにを考えてるんだ。
スタッと着地すると、信長さまは私を腕に抱きしめながら前方を睨みつけている。
その先には、禍々しく大きな妖。
側に人間の姿はない。
人に憑いている妖ではなさそうだ。
「信長さま」
「・・・ここでじっとしていろ」
信長さまはそう言うと、私を腕から離し妖に向かう。
信長さまは、いつだって本気だ。
臆することなく妖に向かっている。
私はこんなにも怖いのに。
今まで見たことないくらい大きな妖に足がすくんでしまいそう。