「神だのみ、か」
私の隣に座っていた信長さまが呆れたような声を上げる。
私はぎろっと睨みつけながら小声で「なに」と尋ねた。
「馬鹿馬鹿しいと思っただけだ。神も仏も、俺は信じていない。目に見えぬものは信じん」
「妖は信じてるくせに」
「あれは、俺には見えておる。それに、霊魂というのも自分がなってみて初めて信じた」
はっきりとそう言い捨てた。
なんとなく、「らしいな」そう思った。
「すず?」
「あ、ううん。ごめん」
ユーレイも、妖も私だって信じてなかった。
でも、なんとなく神さまっていう存在は信じてる。
なんでだろう?
「人は、そういう存在に、縋りたいものだ」
信長さまが独り言のように呟いた言葉に、すとんとあるべき場所にたどり着いたような感覚。
ああ、そういう事だって。