「怖ろしくなったか」
「・・・少し」
「案ずることはない。誰にでもあるような、小さな邪な心をちまちま喰らうよりも、大きなそれを一気に喰らう方が手っ取り早いことを妖も知っておるわ」
私の心配していたことを当て、きっぱりと答えてくれる信長さま。
・・・そっか。
そうだよね。
「しかし・・・、ホクトが使えることはわかったが、人に使えぬのは面倒だな」
「面倒って、それでいいんですって!」
「たわけ。先ほどのように素手で戦わねばならんのだぞ」
「でも、殺しちゃうのはダメです!」
「峰打ちなりなんなり、方法はあるわ。それに、妖力だけのこの刀は、威力は減っている」
「そうなんですか?」
十分すごかったような気がするけど。
「本物の刀があれば一番良いのだが」
「本物の・・・。どうなったか知らないんですか?」
「知らぬ。本能寺の時、それで戦っておったが、死んだ後どうなったかはわからぬな。気づけばお前と向き合っておったし」