あれから・・・。
コンビニの店員が呼んだのか、警察がやってきて道路に倒れている強盗犯を逮捕した。
私は、巻き込まれないようにひっそりと隠れその様子を確認してその場を離れた。
「あれでよかったんでしょうか・・・」
「なにがだ」
「あの人、妖に憑りつかれてあんなことをしたんですよね?それで逮捕されてしまうのはなんだか・・・」
「逮捕?」
「人を殺したり、物を盗んだり・・・悪い人を捕まえる事です」
妖のせいで、あの人の人生は変わってしまう。
犯罪者として生きていくことになるんだから。
「妖というのは、もともとの人間の邪な心に巣食うものだ。あの者はもともとそういう心を持っていた。それに、妖が手を貸しただけの事」
「妖がつかなくても、犯罪を起こしてたってことですか?」
「そういう事だ。妖は、人間の悪の部分を増幅させ、それを食い扶持にしている。もともとそういう物を持っていないものには、そもそも憑りつきなどしない」
悪の部分・・・。
私には、あるんだろうか。
全くない人なんて、いるんだろうか。