「う、じゃ、じゃあ・・・あの、行ってきてもいいかな?」

「うん。いいよー。行ってきなって。うまくいったら教えてね」

「だ、だからそんなんじゃないよっ」




ケラケラと笑ってやよいを見送る。
恋する乙女って感じで、可愛すぎる!
やよいも恋かぁ。

いいなぁ。



恋・・・か。



私の初恋は、中学1年の時、見知らぬ男の子だった。
入学式を終えて、初めて一人で登校した日。


思い切り階段を踏み外してずっこけた私。
膝から血を流し痛みにポロポロ泣いていた私に手を差し伸べてくれた人。



歳は同じくらいだったけど、どこか知らない学校の制服姿で、私を起こしてくれると持っていたハンカチで私の膝の怪我を覆ってくれた。



なにも言わずそのまま立ち去ってしまった男の子。




あまりにもスマートな行動に涙も止まって去っていく背中を見つめてた。




ハンカチを返そうと何度もその道を通って探したけど、その日以来会うことはできなかった。