妖に気づかれないように、水原先生の元へと近づく。
水原先生はというと、妖と信長さまの戦いを呆然と見つめていた。
「先生!お願い!話を聞いて!」
「く、来るな!」
水原先生は、妖気がため込まれているであろう注射器を掲げ叫ぶ。
私たちは動きを止め、水原先生と向かい合った。
「こんなことしてなんになるの!?」
「水原!もうやめてくれ!お前は利用されてるだけだ!なんでそれがわからないんだ!」
「そんな事、わかってる!」
「っ!わかってるならなんで!」
「もう、引き返すことなんてできない。・・・私は、これまで、どれ程の犠牲を作って来たか・・・。もう、手遅れだ」
水原先生・・・?
犠牲って・・・。
今まで、妖に憑りつかれてきた人たちのこと?
でも、それは水原先生だけのせいじゃない。
そんな事を言っても、ダメなのかな・・・。
「先生がしたことは、許されることじゃないかもしれない!でも!それに気づいたならどうしてやめないんですか!」
「私には、やらねばならないことがある。この無念を、後悔を、晴らさなければ。あのお方のために」
「え・・・」
「水原!どういうことだ!」
その時、大きな爆発音が響き渡り、地響きで地面が揺れる。
バランスを崩し座り込み、爆発の方を見ると信長さまが地面に叩きつけられていた。