「信長さま、大丈夫かな・・・」

「信じるしかないでしょ」

「うん・・・。そうだよね」



夾くんの手がそっと私の手を握る。
その手は少しだけ震えていて。
夾くんも不安なのだとわかった。




目の前で繰り広げられている戦い。
信長さまが負ければ、私の身体だけじゃない。
この世界が終わってしまうんだ。



今まで見えなかった、なにも知らずに生きてきた人たちが恐ろしいものを見て。
あの妖に全てを支配された世界になってしまう。




水原先生は、本当にそれでいいと思ってるの?




「やっぱり、水原先生を説得しよう!今なら妖は信長さまに気が向いてるから、近づける!」

「なんであんたっていっつもそんな無鉄砲なの。例え近づけたとして、今までなに言っても響かなかった人がこれ以上なにを言っても響かないと思うけど」

「そうかもしれないけど、なにもしないよりはましだよ」




もしかしたら、もう心は少しだけでも揺れてるかもしれない。
なにもせずに後悔するよりは、やって絶望する方がいい。





「俺も、一緒に行く」

「はせちゃん・・・」

「あいつを止めれなかったのは、俺もだ」




うん。行こう。
水原先生を、止めよう。