私が、どれだけ瀬名くんの力になれるのかわからない。
瀬名くんの心を護れるのかな。



それでも。
伸ばした手が、瀬名くんの心まで届きますように。




「・・・瀬名くん、私がいるから」




こぼした言葉が届きますように。
想いは。




「・・・悔しい・・・」

「うん」

「なにも、できなかった・・・。触れる事すら・・・できなかった」

「そうだね」

「あいつは、母さんの敵なのに・・・、殺したいほど憎いのに・・・なんで届かないんだ・・・」




私の背中にすがるように回された手。
想いが届きますようにと、瀬名くんに回した手に力を込めた。




「瀬名くん・・・。大丈夫だよ。大丈夫・・・」




安心してほしい。
何の確証もない言葉だけれど。

少しでも、心安らかになって。