「しばらく、瀬名、お前はこの件から手を引け」

「っ!嫌だ!勝手に決めるな!」

「冷静でないといってる。お前は、またアヤツを目の当たりにすれば、我を忘れ突っ走るのが目に見えている」

「・・・冷静になれって?馬鹿じゃないの!?俺は家族を殺されてるんだ!」

「だからだ。確実に仕留めるためには冷静になれないと一筋縄ではいかない相手だ。お前では無理だ」





信長さまが言いたいこともわかる。
瀬名くんが納得できないのもわかる。

どうしたらいいんだろう。




「信長さま・・・。瀬名くんだって、ずっと追って来た仇なんです。信長さまが敵を討つからって言ったって、納得できるわけないです」

「ならば、冷静になることだ」

「・・・お前はどうなんだよ。お前は、自分の命を奪われたんだろ!それなのに、なんでそんな冷静なんだ!」

「言っただろう。確実に仕留めたいからだ」





信長さまの瞳から光が消える。
ゾクリと背筋が凍るような。




「あれは、俺の獲物だ。貴様に手出しはさせん」

「なっ!」

「すず。帰るぞ」

「え・・・、ちょ、ちょっと、信長さま!?」