「あと一歩のところで逃げられた」
「そうですか・・・」
少しだけ落ち着いた瀬名くんを道の端に座らせ待っていると、妖気の集まるところに向かっていた信長さまが戻って来た。
「だが、急に集まっていた妖気が途切れるように消えたのだが、なにかあったのか?」
「・・・私の力が発動したんです」
「ああ、なるほどな」
納得したように頷き、信長さまは瀬名くんを見る。
「無様だな」
「っ」
「信長さま!?」
立てた膝に顔をうずめている瀬名くんに容赦ない一言を浴びせる。
瀬名くんはビクッと肩を震わせ顔をあげた。
「我を忘れ、闇雲に刀を振るう。まんまとあの妖に乗せられおって」
「なんだと・・・」
「冷静になれ。頭に血が上っていては、討てるもんも討てんと言っておるのだ」
でも、信長さまが言っていることは正しい。
現に瀬名くんが刀を振るったことで妖気はあいつらの手に渡った。
その先に待っているのは、酷く残酷な未来だ。