でも、ダメだよ。
怒りにまかせても、なにもならない。




「やめて!瀬名くん!」





きっと、たどり着かせてなんかくれないんだ。
だから余裕で笑っている。

きっといくら斬り捨てたって、妖は捨てるほどいる。
次から次へと現れて、きっと、あいつになんかたどり着かせてくれない。


冷静ではない瀬名くんは、妖の反撃を何度も受け、身体がボロボロになっていく。




無謀だと思いながら、私はそこへ突撃していく。
手を伸ばして、もっと先へ。
瀬名くんに、届いて!




「もう、やめてぇぇぇぇぇ!!!!」






伸ばした手が瀬名くんに届き、きつく抱きしめる。
眩い光が辺りを包み、一瞬にして妖の姿が消え去った。




「な、これが、浄化の力か・・・」




男がハッとしたように呟く。