「となりに越してきました。今日からよろしくお願いします」

「こちらこそ。よかったわね、夾。大学生のお兄さんだって。遊んでもらいなさい」

「夾くんっていうの?よろしく。小学生かな?」

「・・・よろしくお願いします」



       *
       *





「夾くん、大丈夫。君は一人じゃないよ」

「・・・一人だ。だって、母さんはもういないんだから」

「夾くんが元気になるまで側にいるよ





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       *




「夾くんが、そんなにも辛くて、苦しくて仕方ないのなら、これをあげるよ」

「・・・刀・・・?」

「これは、とても不思議な力のある刀なんだ。きっと、夾くんになら使いこなせる。君の役に立つよ」

「でも、これでなにを・・・?」

「復讐がしたいんだろう?これを使うといい。君のお母さんを殺した妖を、これで」

「・・・妖・・・」





      *
      *





「そこの部屋の人、突然引っ越したらしいわよ」

「え・・・」

「なんでも、ここでやるべきことはもう終わったとか何とか・・・。不思議な人よねぇ」