それは、どれほどの絶望だっただろう。
どれほどの、悲しみだっただろう。
愛のこもった刺繍入りのハンカチをくれるような優しい愛のあるお母さんを奪われた。
それは、私には想像もつかないほどの。
それこそ、すべてを恨んでしまいそうなほど。
「だから、なんでお前が泣くんだよ」
「だっ、だって、想像なんて完ぺきにはできないけど、想像したらすごく、悲しくて、瀬名くんが心を閉ざす理由もわかるからっ・・・」
「別に、同情してほしいわけじゃない」
呆れたように言う。
私は涙を両手で拭い、深呼吸をして落ち着かせようとする。
「瀬名くんは、前から妖が見えてたの?」
「いや、その時が初めてだ。それが妖っていうものたってのも知らなかった」
「それを、お前に教えたのは誰だ」
ずっと黙っていた信長さまが切り出した。