「せ、瀬名くん・・・、本当に、瀬名くんが・・・?」
「なんの事」
瀬名くんはムスッとした声でそういうと、手に持っていたハンカチを私に押し付けた。
そして、そのまま教室を出ていってしまう。
「瀬名くん!」
どういうこと・・・?
瀬名くんの姿が見えなくなっても、私の心境はごちゃごちゃとこんがらがったままだった。
「どうしたんだろうな、それにハンカチ・・・。結局持っていかなかったな」
「うん・・・」
時枝くんに言われ、私は手元に戻って来たハンカチに視線を移す。
綺麗な刺繍。
誰が入れてくれたものなんだろう。
それに、本当にこれ、瀬名くんのだったのかな。
それなのに、なんで返したの?