「・・・あんた、なんで泣いてるの」



路地に身を潜め、ホッと一息ついたとき私を振り返った瀬名くんがギョッとした顔をする。




「ご、ごめ・・・、ごめんなさい、わたしのせい・・・」

「ちょ、めんどいんだけど・・・。落ち着いて」

「だってそのケガ・・・!私を庇って・・・」



制服のシャツを染め上げるその血。
まだ血が止まっていないのか、それはじわじわと侵食を進める。
薄暗い闇の中ではその血は一層黒く染まっている。




「血、止めないと・・・。あ、買い物袋・・・」



涙をぬぐいながら買って来たものをその場に出して袋をひも状に細くしていく。
それを怪我をしている上の部分をぎゅっと縛った。




「ハンカチで抑えるから・・・、痛くない?我慢して」

「平気だって。気にしすぎ」

「気にするよ!こんな怪我!私がボーッとしてたから・・・。気づかなくて」

「あんなの、俺が気づいたのがたまたまだし。あんたがボーッとしてるのなんていつもの事だし」




それ、慰めてくれてるんだよね・・・?
いつもボーっとしてるって思われてたんだ。

軽くショックを受ける。