「俺、今刀持ってない。戦えない。だから、とにかく逃げる。走って」
「う、うん。の、信長さま!」
「いい。気にせずいけ!ここは俺が何とかする」
妖は信長さまに任せておけば大丈夫?
今回はあの妖だけ?
当たりを見渡しても他の妖の姿は見えなかった。
「ぼうっとしてないで走って!」
瀬名くんに手を引かれ走り出す。
私の斜め前を走る瀬名くんの腕にはナイフで切りつけられた怪我が。
赤い血を滴らせている。
私の事、庇って・・・。
私がボーッとしてたから。
全く気付かなかった。
ああいう危険があること、わかってたはずなのに。
悔しい。
私たちは、騒ぎを避け、住宅街の路地裏に逃げ込んだ。