「―――危ない!」




なにが、起きたのか、わからなかった。

突然、突き飛ばされるように体が傾いて。
目の前には瀬名くんの胸板が近づいて。


背中と後頭部に回された腕に護られるようにして倒れこんだ。




「・・・な、なに」

「っ、く・・・」



突然世界がガラッと変わったみたいで追いつけない思考。
ハッとした時にはポタポタと赤い雫が私の頬に落ちてきていた。



なに、赤・・・。



「血ッ!?せ、瀬名くん!ケガ・・・!」

「平気だ。それより立って」

「なにが・・・」



瀬名くんの肩越しに見えたのは、こちらに背を向け刀を抜いた信長さまと、ナイフを持った男。
その男の方には妖の姿が。


妖が、人に憑りついて・・・!