「どう?美味しい?」
「・・・ん」
もごもごと口を動かしながら不本意みたいな顔をしつつ頷く。
よかった。
瀬名くんも諦めたのか、二口目からはおとなしく口をあけてくれた。
「お家の方は?遅いんだね」
「・・・父親は出張で当分帰ってこない」
「え、じゃあ、瀬名くんが熱出してることは?」
「言ってないから知らない」
仕事が忙しい人なんだろうか。
仕事なら仕方ないかもしれないけど・・・。
「・・・お母さんは?」
「・・・母親は、いない」
「え、あ、ごめん・・・」
父子家庭なんだ。
だから、一人で家にいるんだ。