突然聞こえた声に顔をあげる。
サラリーマン風の男の人だ。



「その彼、体調が悪いとか?救急車呼びましょうか?」




そう言われて、瀬名くんの状態を心配されたんだと気付く。
そりゃそうだよね。
意識なくこんな道の隅で倒れてる人を抱えてるのを見たらそう思うよね。

違うんです。
ちゃんと中身はあそこで飛び回ってるんです!



なんて、言えない。



「あ、大丈夫です。心配かけてすみません」

「本当に?・・・ならいいんですが」

「はい。ちょっと疲れてるみたいで。すぐ起きると思います」

「そう。もう遅くなるからちゃんと家に帰ってね」

「はい」