「っなにやってんだよ……!」


その子を俺から思いっきり引きはなしてにらんでやる。


そのとき、まわりがうるさいことに俺はきづく。


この子から視線をはずして声がするほうに目をむけると、北校舎の窓から何人もの生徒が俺たちをゆびさして、キャーキャーとさけんでいるのがわかった。


はぁー、マジかよ……。


きづかなかったけど、ここってけっこう目立つじゃんかよ。


まさか、いまのキスみられてた……?


チッ……。


イライラがつのっていく。


「わりぃけど、俺、花恋にしか本気になんねーから」


その子にそう言いのこして、俺は校舎につづくドアまであるいていく。


いま何時だろ。


スマホをとりだしてたしかめる。


やっぱりムダな時間だったな。


「……っあきらめませんから!」


うしろからそんな声がきこえてきたけど、俺はいっさいふりかえらずにわたり廊下をあとにした。






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