軽空母とはいえ、空母が2隻増えるだけでも大分戦況は変わってくるだろう。

直掩の戦闘機を増やして艦隊の防空を万全にする事も出来る。
爆撃機や雷撃機を増やして敵艦隊への被害を大きくする事も出来る。

だが、護衛の巡洋艦や駆逐艦があってこその機動部隊だ。
そこも完璧にしなくてはいけない。

問題はミッドウェー島上陸支援の戦艦部隊と、ミッドウェー島上陸隊だ。「」

日本海軍の戦艦は現在、俺が乗艦している大和を筆頭に、「長門」「陸奥」「金剛」「比叡」「榛名」「霧島」「扶桑」「山城」「伊勢」「日向」の計11隻だ。

史実通りならば現在長崎の造船所で大和の姉妹艦である「武蔵」が建造中だろう。

これらの戦艦を1度に投入して、他占領地の戦力を手薄にする事はできない。

それぞれの戦艦の長所と短所を考えながら編成していかなくては。

まず、「大和」は確定だろう。
「大和」の次に強力な砲を装備している「長門」「陸奥」も外し難い。
足の速い「金剛」「比叡」「榛名」「霧島」も機動部隊に追従するため必要だろう。
「扶桑」「山城」「伊勢」「日向」も、大事な戦力だ。

ではどうするか。「大和」「長門」を中心に攻撃部隊を組む。
あと4隻ほど欲しい所だ。

脳をフル回転させる。

「金剛」「榛名」は後にヘンダーソン飛行場砲撃に於いて成功を収めるはずだ…ならば、その技量を信じたい。

あと2隻。「扶桑」型と「伊勢」型には特に大きな差は無い。ならば、それぞれの型から1隻ずつ編成するか。


戦艦部隊は決まった。 あとは戦闘の推移を想像していく。

まず機動部隊を挙げての全力航空索敵で、米軍より先に相手の状況を把握する。
その後、米機動部隊を叩く。

今回の機動部隊の目標は米軍機動部隊のみなので、装備を換装するという事は起こらないだろう。
つまり、「運命の5分間」は起こりえないのである。

我が軍にもある程度の被害は出るだろうが、戦闘に被害は付き物だ。だが、史実よりは確実に被害を抑える事ができるだろう。
悪くて1~2隻沈没、良ければ全艦小破以内だ。

アメリカの空母は、3隻全て撃沈するつもりでいかねばなるまい。
成功するか否かは、全て日本海軍のパイロットの技量にかかっている。それを信じたい。


「吉田中佐」
長官が口を開いた。

「この戦闘で沈没する重巡の艦名は?」

「最上型2番艦三隈です」

「三隈の艦長を君に任せたい。よろしく頼む」

「はっ…ですが長官、私は指揮のための知識を持っていませんが」

「なあに、大丈夫だよ」


海上自衛隊で護衛艦の艦長を勤めてきた親父の姿を見て育ったから、少しは分かるが。
まあ、成さねばならぬ何事もだ。やってみるだけやってみよう。