なんで忘れてなんて言うのかな。

分からない。


神崎さんは窓の方をまっすぐ見つめていた。



その瞳は透き通っていて、強くて、でもどこか壊れてしまいそうだ。





「私、前野さんにはこんな思いして欲しくないの。


だから



今日はなしたことは、忘れて…。

明日から私をまた」






「そんなこと出来ないよ!」





私は神崎さんの方を見て言う。




握っていた手に力を込めてしまった。






「そんなこと出来ない…。


泣いてる飲みたのに、助けて欲しいってたのに。そんな、忘れるなんて、できないよ…。」





私は思わずなみだをこぼしてしまった。





私が泣いていいわけないのに。