「霞ッッ!」

オレは、また走り出した。

こんなにも雨が嫌いと思ったのは、初めてだ。

オレは、むしろ好きな方だ。

でも・・・今は、嫌いだ。

霞を隠すから。

声を消すから。

霞のためなら、嫌いになれる。

オレの姿に気付いた霞が横断歩道を渡ろうとする。

しかし信号は“赤”。

しかも、国道。

赤く光る信号は、悪魔が乗り移っているとしか考えられない。

信号が“緑”になることは、なかった。

―キキィィイイッッ!!!

「かすみっっ!!」



車道の信号が黄色に光った。