聞き覚えのある甘ったるい声がして、俺はドキッとした。



いやもちろんそういうドキ、じゃなくてギク、に近いほうだ。



振り返るとそこにはサラダのボウルとトングを持った愛美の姿があって。



今さらながらこいつと関わるのが少し後ろめたい。



「ちゃんと食べてるー?

ハル野菜嫌いだから、ちゃんとお野菜食べなきゃダメだよ?

はい、サラダ」



彼女はみんなにサラダを配ってるのか、わざわざ俺の小皿にサラダを取り分けてくれた。



「あぁ、さんきゅ。

でもちょっとでいいわ」



「だめーっ!これくらいは食べなくちゃ~」



「えーっ…」



俺が嫌そうに顔を曇らせると、笑いながら俺の頭を叩いてくる愛美。



「あはは!もう〜っ、子供みたいなんだからぁ〜」



そういうところは相変わらずだ。



いつだってニコニコしてて、甘え上手で。



ちょっとわがままだけど、そういうとこも好きだったんだっけ。



今思えば少し、花鈴に似てる。



でもやっぱりちょっと違うんだよなー…。