朝から雨だったため、優季も瑠璃も大きな
傘を持ってきていた。
「はーやく止まないかな、この雨。」
「ね。気分も下がるし...」
歩きはじめてふと視線をやると、体育館側の玄関に、ひとりの男子生徒が立っていた。
「ねえ瑠璃、あそこ、人。」
「ん?あ、ほんとだ。男子じゃん。」
「雨宿りかな?」
「じゃない?でなきゃ帰るしょ。
とりま行ってみる?イケメンかもしんな
いし!」
イケメンかも...って。
優季は半ば呆れたが、こうなると瑠璃は絶対に行くので、しかたなくついていった。
...え
なに、このかんじ...
体育館玄関にたたずむ男子生徒に近づくに
つれ、優季は以前感じたことのある空気感を覚えた。
「あのー...」