しばらく歩いて、優季が、この辺でいいよ
と言おうとしたときだった。

「...ねえ。」

「っ」

竜崎はを呼ぶと同時に両手で優季の肩を掴み、体を自分のほうへ向かせた。

視線が真っ直ぐ絡み合う。

優季は顔が赤くなっていく感じを覚えながらも、視線をそらせないでいた。

「俺と...会ったことない?」

「俺のこと、記憶にない?」

言いながら竜崎は、優季と唇が触れそうな距離まで顔を寄せた。

「...っ」

は、ずかしい。
こんなの、少しでも動いたら...

優季は微かに吐息を洩らした。

「............は、離して」

「だめだよ...
ねえ?」

竜崎は少しずつ顔を離したが、片方の手を優季の腰にまわして、今度は唇を耳元まで近付けた。

「...!ゃ...」

予期せぬことに、変な声が出る。

「ちゃんと思い出して...優季ちゃん。」