相談する雰囲気じゃなくなってしまったけど、3人で会話をしつつご飯を食べるのは気晴らしになる。

いつもお弁当を作ってきて休憩室で食べているけど、たまにはこうやって外で食べるのもいいかもしれない。今度は芽衣ちゃんも誘って、4人で食べたいなぁ。



綺麗で手厳しい真由と、正直なできる女の佐野さん。ふたりだけだとわたしはあわあわするだけだから、癒し系の芽衣ちゃんも。きっと相性はいいんじゃないかな。



うん、と頷いて少しだけ笑う。大丈夫、まだわたしは笑える。

スプーンを再び手にして、食事を続ける。少し似ているふたりの会話を聞きながらとりとめのない話をしていると、昼休憩の時間のおわりが近づいてきた。そろそろオフィスに戻らないといけない。



「出よっか」



そう言って、会計を済ませそうと席を立つと、「ねぇ、くるみ」と真由がわたしの名前を呼んで座ったまま真剣な瞳を向けてくる。真剣な雰囲気を察して腰をおろして、わたしはなに? と尋ねた。



「あんたはいつも、誰かのために考えて、行動して、そんなことばかりしてるわよね」

「そう……かな」



そうなのよ、ときっぱり言われる。黙って流れを見ている佐野さんもその点に関しては同意らしく、納得の表情を浮かべている。



「相手の幸せばかり考えないで。
くるみも幸せを求めていい、幸せになっていいの」



そう、真由がわたしの手をつかんだ。ぎゅっと握り締められる強さに、彼女の想いを感じて戸惑う。

すがるように佐野さんを見ても、真由ほどとは言えないけど彼女も複雑そうな表情で。わたしはどうしたらいいかわからなくなる。



「……ありがとう」



ただ純粋にわたしを気遣ってくれる人の存在が嬉しかった。

母がいなくても、父と会えなくても、好きな人に愛してもらえなくても、わたしはとても恵まれている。不幸だとは思わない。

だから、わからないんだ。



わたしの幸せって、なんだろう────。