好きではなく
愛してる
ずっと
ずっと
君が
好きだった
気づかなかっただけで
恋が始まった頃の僕は
まだ幼すぎて
気づかなかっただけで
きっと
ずっと
好きだった
今その事に気づいて
そしてまた
君に恋をした
僕の感情は
幼い頃の
“好き”
という感情の
ままではなく
“愛してる”
という感情になって
愛してる
ただそれだけ
伝えないから
まだもう少し
君の隣にいさせて
好きではなく
愛してる
きっと
ずっと
君が
好きだよ
でも伝えることはしない
もし伝えたなら
叶うかもしれない
でも伝えることはしない
ずっと
ずっと
一緒だった
一緒だったから
伝えない
僕が求めたのは
変化する
“恋愛”
という関係で
でもけして
“同情”
という関係じゃないから
愛してる
ただそれだけ
伝えないから
まだもう少し
君の隣にいさせて
愛してる
愛してる
君の隣に
いたいから
君には伝えない
愛してる。
俺はこの歌に
『光が眩しいから』
という題名をつけた。
ゆきへの愛に気付いたあの日の、太陽が眩しすぎたから気付いてしまった恋の歌だから。
きっとあの眩しすぎる太陽がなければ気づいてはいなかったから。
ゆきへの愛に気付いて、その想いを解放する術を見つけてもどうしてもゆきを意識してしまう。
そしてゆきを避けてしまう俺の日常は変わっていった。
最近の朝は、だれに起こされなくても目覚まし時計で早く起きる。
制服に着替えたら朝飯を家の誰よりも早く食べて学校に向かう。
そこにゆきはいない。
でもそれには理由が必要だった。
そして俺はその理由として生徒会に入った。
生徒会はイベントのたびに何かと準備がある。
朝と部活終わりの放課後に集まることが多いから、ゆきと会わずにすむ。
俺が生徒会に入ったのは、生徒会の副会長で春樹の友達の風祭佳珠音に誘われたからだ。
佳珠音と出逢ったのは最近だったけど、佳珠音が一番俺のことを分かってくれていた。
佳珠音のそばが一番落ち着いた。
生徒会室に入ると、佳珠音がもう先に来ていた。
「おはよう。」
「あぁ、おはよう。」
挨拶を交わし、二人で静かに仕事をはじめる。
朝と部活終わりの放課後に集まることが多いといっても、実際朝集まっているのは佳珠音と俺だけだった。
朝は集まりが悪い。
というより俺と佳珠音が特殊だった。
佳珠音はなるべく家にいたくないし、俺はゆきに会いたくなかった。
二人とも何かから逃げるように仕事をしていた。
だからこそ、分かりあえていた。
「こう。」
「なんだ佳珠音?」
「私たち付き合おうか。」
彼女が静かに言う。
いきなりすぎる告白。
でも…
「いいよ。」
互いに一番好きな人ではなかった。
それでも今の俺達には支えが必要だった。
だから…
俺達は
彼氏と彼女になった。
朝と放課後は
ゆきに会わない。
でも昼休みは皆で屋上に集まった。
今日までは…。