「お疲れ様でした! お先に失礼します」 22時。飲食店でのバイトを終え お疲れ〜! という声を背中に、わたしはスタッフルームの扉を開けた。 (あ、また忘れた) と、ノックをしていないことに気づいてももう遅い。 「いい加減ノックすることを忘れるな。 もし俺が着替え中だったらどーすんねん」 スタッフルームにいた先客が怒っていらっしゃる。