振りかざした右手を掴んでいる奏太。

その近くに、海音、紫苑。

「大丈夫か?」と奏太に声をかけられる。

私は、頷く。

私の隣には海音がいる。

そして、私の前に紫苑が私をかばうように仁王立ち。

「どういうつもりだよ!」

と奏太が口を開く。

「こっちは被害者だ!せっかく、恋人になってやろうと思ったのによ。そんなに、可愛くねーし。聞けば白沢は、彼氏いたことないらしいじゃねーか。勝手に怪我しといて大人数で一人を攻めるなんて卑怯だぜ?そんなことしかできねーのかよ。」

その言葉にカチンときたのか、奏太が拳を上げた。

それを、紫苑が止める。

「なんで止めんだよ!」

と奏太。その言葉に紫苑が口を開く。

「鈴中、俺らはあくまでも部外者だが、1つ言っておく。そんな、情けごころで付き合おうとなんて出来るわけねーだろ。ちゃんと、姫花も断ったはずだ。そんなことしかできねーなら、彼女なんて出来ねー。断られたのなら、潔(いさぎよ)くきくのが男だ。断られたくらいでこんなことしてんなら、男じゃねーよ。諦めな!」

「なんだよ。東堂紫苑。えらそーな口聞きやがって。わかったよ、情けごころだしな。めんどくせー。」

と言いながら、鈴中は校舎へと消えていった。