「ただいまー!」

(や、ヤバ!この顔見られたら何してたのか問い詰められちゃうじゃん。タイミング良すぎ。)

「ち、ちょっと放して?」

「ダメ。」

「いや、ダメじゃなくて。お母さん帰って来ちゃったから。」

「え?嘘だろ?」

「いやいや、嘘言ってどうするの。」

「確かに。足音は聞こえる。」

良かった。やっと放してくれた。

【コンコン。】

『入るわよ。』とドアの向こうからお母さんの声。

私は、ベッドにダイブ。

奏太は、机の上に広げてあった問題と格闘中。ということにしておく。

「姫花。あの事は言った?」

「言ったわ。もー、心配性なんだから。」

「よかったわ。じゃあ、ごはんできたら呼ぶから。」

「今日は何なの?」

「さぁ?なんでしょ?」

もー、はぐらかして。

いい年して可愛いことするんだから。

【バタン。】

お母さん退出。

「はー、疲れた。」

「だな。」