前にもこういうことはあった。

海音は、今まで幾度となく、引っ越しを繰り返してきた。

小さい頃から親の虐待はひどく、体や身体に傷をつけはしないものの、口だけは優等生?と言ってもいいほど優れていたのは事実だ。

お世辞もここまでなら大丈夫。というところまでうまく持って行き、そこでうまいこと止めていた。

いいところだけでその能力をいかせるならまだしも、悪い方向まで働いてしまうのだ。

それを、海音が生まれてからずっと耐えてきた。

海音は、愛する人がいても、大事な友達がいてもすぐにひき離される。

そういう生活を送ってきた。