「遅い」



用事を済ませてから学校を出ると奏人が待っていた。



「先帰っていいって言ったのに……」

「今日は図書館行くから待ってた」



私は別に行きたくない、とは言えず



先に歩き出した奏人の後ろからついていく。



きっとこれが彼氏彼女だったらデートと言えるのだろうけど



私達のはちょっと違う。



「あ、そうだ」

「何」

「これやるよ」



そう言って手渡されたのは



今日の休み時間に奏人が貰っていたお菓子だ。



「貰ったものを人にあげるのってどうかと思う。いらないなら断ればいいのに」

「せっかく作ってきてもらったのに悪いだろ」

「そう思うなら食べればいいのに」

「俺が食えるとでも思っての? 触るだけで気持ち悪かったのに」



彼は手袋をしている



直接触ってはいないだろうと言いたいが言ったところで無駄だ。



まあ受け取ったということだけは評価はしておいてあげてもいいかもしれない。