「茜は好きな奴とか彼氏とかいるのか?」

和希があたしに話を振る。
あたしはうーんと首をひねった。

「・・好きな奴ならいるよ、多分」

多分じゃない、絶対いる。
けど、
何か恥ずかしくって曖昧な答え方をした。


「ど、どんな奴なん?」

あほ男は好奇心丸出しで
あたしに聞いてくる。

目が少年のような輝きを放っている。


「身長は170くらいで~・・
髪の毛は茶色くてワックスで立ててる」

「ふむ」

意味の分かんない頷きありがとう。

「頭の良さは中の下。
運動神経は猿並みに良くて~・・」

「ふむふむ」

あほ男は真剣に話を聞いてくれている。

「性格は悪くないけど、
あほだしばかだし子供っぽい。
んでおまけに超~鈍感!!!」

「何かルックスは俺に似てるけど
中身は全然似てないな~・・。
中身は俺のほうが数倍良い!」


・・どうだか?

あたしは心の中で呟いた。

「私には中身も君と
そっくりに聞こえたけど?」
「同感」

あやの意見に稜太は賛成する。


そっくりで、当たり前。
あたしが好きなのはこのあほ男・・
大澤和希(オオサワカズキ)だから。