「茜から聞いたけど
お父さん・・大丈夫なのか?」

俺がそう聞くと
水沢はやはり笑顔を作った。

「全然大丈夫。わざわざ
それを聞くために来てくれたの?
・・−ありがとう」


−−何が大丈夫だよ。


「・・無理するなよ」

そう声をかけて頭をぽんぽんと叩いた。
いつも茜にする以上に優しく。


俺ができることはこれくらいだから。


「・・あのね、」

水沢はゆっくり、
ぽつりぽつりと言葉をこぼす。


「お父さん死んじゃうかもしれない。
昨日のメールはお母さんからで、
お父さんの容態が急変したからって。
お薬貰ってだいぶ落ち着いたけど、
今すぐに来てって。

あたしが駆け付けたときには
もういつものお父さんだったけど・・


何か、すごく・・嫌な予感が・・して・・」


消え入りそうな水沢の声。
水沢の肩は小さく震えていた。

誰よりも落ち着いてて
誰よりも周りを見てて。
誰よりも大人びて見える水沢だって
まだ15歳の女の子なんだ、って
その時やっと気付いたんだ。


そして−・・



こいつを守ってやりたいと思った。