「家族・・って?」
俺は茜に聞き返す。
茜はうーん、と首をひねると
ゆっくり口を開いた。
「これって言ってもいいのかな・・
あやのお父さん、病気なんだ」
病気−・・?
初めて聞いた事実だった。
水沢はそんなこと一度も
口に出したことなかった。
「それ本当か?」
今まで黙ってた和希が口を開いた。
「本当に決まってるでしょ。
・・−おじさん、中3の夏に倒れたの。
それからずっと、入院してる。」
中学の頃からお父さんの容態が
悪化した時には水沢の元に連絡が来て、
今日みたいに早退することが
何度かあったらしい。
水沢の笑顔からは
そんな事実をくみとれなかった。
いつも笑ってて、
周りの心配ばかりをしてて−・・
俺はなぜか無性に水沢に会いたくなった。