「あはは!相変わらず何もない部屋だね!」

「それは悪かったな…」


確実にカラ元気だとわかる声の主を部屋に押しこむ。

こんな寒い中、何時間も帰りを待つなんてきっと相当な事情があるはず。

「マユ…」

「なぁに?」


問いかけに答えるように、振り返るマユの動きがスローモーションのように思えた。

受け止めたくなかったのかもしれない。
この現実を。