「大丈夫です。命には別状ありませんよ。」


医者はそう言ってくれた。しかし、その顔には笑顔はなかった。



「良かったー!」


海斗は万歳をしながら言う。



神様…本当にありがとございます!!



沙良と私は手を握りながら心の底から喜んだ。



俊くんのおじいさんが出てきた。その顔も医者と同じく笑顔はなかった。



「どうしたんですか?」



「記憶喪失です。」


おじいさんの変わりに医者が言った。



―記憶喪失…?



「はねられたときに、頭を強く打って…」


ウソ…そんなぁ!
ウソでしょ!?


ねぇ…!!