「え、あ、ごめんなさい」


エッチとかフツーに言っちゃった。
指摘されてようやく頬が熱くなる。

佐橋先輩も赤くなっている自覚があるようで、わざと渋面を作り答えた。


「ストーリーは好きなんだけどさ、ファンタジーもオフィスラブも。エロ描写が増えると……照れるっていうか」


「意外です。佐橋先輩の言葉とは思えない」


「深山さんさ、なんか誤解してない?俺のこと」


佐橋先輩のこと?
我が校の王子様で、元バレー部で生徒会では庶務長で、カッコよくてモテモテで……。


「俺、女子と付き合ったことないよ」


佐橋先輩は恥を告白するといった様子で、視線をそらして言う。頬がまだ赤い。


「え!!嘘だぁ!」


思わずタメ口を聞いてしまいました。
すみません、でもそのくらいショックでした。

佐橋先輩が彼女いない歴=年齢だなんて、いったい誰が信じよう。