そう年端も変わらないママさんたちとの時間は、思いの外居心地がよかった。


「このドレッシングを使うとね、コールスローが時短でできるのよ。」

「出し汁、昆布からちゃんと取ってるの?えらいわぁ。
じゃあ出し殻になった昆布は捨てないで____」


みんなでバーベキューの準備をしながら、生活の裏技情報がざっくざく。
生理痛がひどい、と打ち明けたら。出産したら軽くなったよ、と励ましてくれた人もいた。

中には、私より若いであろうママさんもいたけれど。お子さんを見つめる瞳は、年下なんて思えないほど成熟した女性のもので。

どの人も、地に足がしっかり着いた感じ。
守るべきものがあることって、こんなに女性を変えるんだ____。





社会人になってからできた本当の友達は、眞子くらい。
むしろ、学生時代の友達とは年々疎遠になるばかりで、今では眞子しかいないんじゃ?と思うほどだった。
こうやって友達って減っていくのかな、なんて喪失感もあったりして。

だけど、新しい世界には新しい出会いがある。
ママさんたちの繋がりは、そんな未知なときめきをふんだんに含んだ景色だった。

まだ私には、知り得ない悩みもあるけれど。
いつか、こうやって次のステージの悩みを次のステージで出会った人たちと共有できるのって素敵だな。


私もいつか。
オトナな悩みを、オトナな誰かと。
それが、今日出会えたこの皆さんだったらいいのにな。

バーベキューが始まってからも、私の席はもっぱらママさんたちの輪の中で。
エリーとは、時折焼けたお肉を持って来てくれた時に言葉を交わす程度。
雄くんを片手間にあやしながら、私はすっかり“ママトーク”に心酔していた。









「かのじょ〜。」

ツンツンと脇腹を突かれるまで、それが自分を呼ぶものだとは気づかなかった。


ん?カノジョ?

見下ろせば、双子のようなマルコメ少年が二人。

「江里っちのかのじょ〜。」


どこか悪戯に、ニコニコ私を見上げる。
日に焼けた頬と、抜けた前歯が可愛い。


『なぁに?どうしたの?』

江里っちの彼女、ではないけどね。

『あ、もしかしてジュース?ジュースはね、なくなっちゃったんだよ。
お茶ならあるけど。』

顔を見合わせる二人の笑顔が、ニコニコよりニヤニヤに近いことに気づく。


『?どうした、』

「・・・してる?」

『え?なに?』

「江里っちと、えっちしてる?」