簡単な運動着に着替えたエリーがグラウンドに降りて行けば、あっと言う間に子供たちに取り囲まれた。

一様に嬉しそうに、エリーの周りに群がる子供たち。
エリーも負けないくらい、嬉しそうに楽しそうに頭を撫でたり腰を屈めてハイタッチしたりしてる。


エリー、子供にも人気だったのか。
ていうか、こんなに子供好きだったんだ。

やばい、また胸が________




雄「ぶー。」

『わっ!』


油断してたら、膝の上に乗せていた雄くんが、りんごジュースを豪快に唇から漏らして見せた。


『ちょっ、ちょっと待ってね、ちょっと・・・』


キャッキャと笑う雄くんを落とさないように左手で支えながら、右手で柳田さんのバッグを漁る。
ガーゼを探り当てて、小さすぎる悪戯な唇をソッと拭った。

もう、悪戯っ子だなぁ。さっきから油断すればこればかり。おかげで、マグの中のりんごジュースは殆ど残ってない。


それでも。


雄「あいっ。」

『・・・くれるの?ありがと。笑』


子供って、こんなに小さくて可愛いんだな。
あったかくて重たくて、清潔ないい匂いがする。



柳「あ、雄!またお前ブーしたのか!」


柳田さんの登場にも、大きな目をクリクリさせながら動じない。


柳「ごめんね藤澤さん、本当は嫁が来る予定だったんだけど。
やっぱ、悪阻キツいみたいで。」

『全然。私こそあんまり子供あやしたことがなくて、不慣れなんですけど。
すごく、可愛いです。』


タイミングよく、きゃーと笑いながら手を叩く雄くんに、柳田さんは困った顔で肩を竦めた。







柳「藤澤さんって、岳人と長いの?」

『そうですねぇ・・・入社以来なので、6年目?かな?』

柳「岳人って、藤澤さんの前でどんな感じ?」

『うーん、このまんまだと思いますけど。
優しくてちゃんとしてて、爽やかナンバーワン。』



サッカーって、こんなイガイガの生えた靴履くんだ。
雄くんと二人、柳田さんの足に器用に密着していくスパイクに見惚れて。



柳「あっは、爽やかナンバーワンか。笑
なんかそんなこと、中学の頃も言われてたな〜女子たちに。」

『へぇ。笑
エリーって、どんな中学生だったんですか?』


目に浮かぶよう、中学生の頃のエリー。
きっと、爽やかでかっこよくて、今と変わらない笑顔が可愛くて・・・


柳「くっそエロかったよ?」

『はっ?!』



意表を突いた返答に、思わず身を乗り出してしまった。


柳「あ、今もか。過去形は訂正だ。
あの頃から、岳人はくっそエロいね。」

『ちょ、ちょっと待って』