週末の天気を気にするなんて、いつぶりだろう。
やけに早く目が覚めてしまった土曜日の朝、一番にカーテンを捲った。
『晴れてる・・・』
スカイブルーの快晴。
昨日の曇り空から一転、気持ちのいい朝が広がってる。
窓を開けなくても、春の清潔な匂いがするような気がした。
せっかく早く起きれたから、シャワーを浴びて朝食を作ろう。
平日は簡単にスムージーかコーヒーだけで済ましてしまうから。
シャワーを浴びながら、冷蔵庫の中身を思い浮かべて。あ、そういえばアボカドを買ったまま忘れてたな。
さっぱりした身体に、ボディクリームはローラメルシエのフィグ。新しいバスローブを纏って、玉子を茹でる。
まだギリギリ食べ頃と言えるアボカドをスライスして、パンを焼く。
玉子は粗く潰して、ヨーグルトとマヨネーズで和えて。アボカドとトーストに挟んで、簡単なホットサンドを作った。
音楽を聴きながら、紅茶の茶葉をティーポットへ掬っていたところで携帯が鳴った。
“おはよう。起きてる?”
エリーから浮かんだ吹き出しに、コトンと胸が一段上がる。
“起きてるよ。”
“8:00に行くけど大丈夫?”
“大丈夫だよ。待ってるね。”
“ちょっと寒いから、何か羽織るもの持って来て。”
ちょっと寒いって、エリーはもう外にいるの?まだ7:00前だよ?
何してるんだろう。。エリーの休日ってどうなってるの??
そういえば、エリーと二人で休日に会うなんて初めて。はるか昔に、同期でバーベキューをしたことがあったような気がするけど。
ウサギがオッケーを出してるスタンプを送ると、熊がウサギの頭を撫でてるスタンプが返ってきた。
何これ。可愛い。。
こんな短いやり取りなのに、十分心は浮ついた。
携帯を置いて、ティースプーンを取り上げて。
ふと、出来立てのホットサンドが目に入る。
エリー、朝ごはん食べて来るかな?一つ包んで持って行こうかな。
せっかくだから、このお気に入りの紅茶もポットに入れて。
丁寧にラップで包んだホットサンドを前に、不恰好になってしまった方の一切れを頬張って思う。
ちょっと玉子茹で過ぎたかも・・・。
クローゼットの前、デニムに合いそうな『汚れてもいいけど、キレイめ』な服を探す。
去年買った、レース使いの白いノースリーブブラウス。柊介とのデートには甘すぎる気がして、まだ一度も袖を通していなかった。
これにヒールを合わせれば・・・って、汚れるならヒールはダメか。
スタンスミスにしよう、流行りに便乗して買っててよかった。
胸元に合わせて鏡を覗き込んで、もう一人の私と目が合ったらまた思う。
エリーってアボカド食べれたっけ。紅茶よりもコーヒー派だった?
朝ごはんは食べない主義だったらどうしよう。
結局。
震える携帯と心を手に、家を飛び出すまで。私は何をしても、エリーのことを考えていた。