ホワイトマッシュルームのアヒージョ。
今夜のそれは、何の味気もなく感じられた。
眞「組織票が動いたっていう噂だよ。
清宮さん、十和子との結婚を公言したでしょ。元祖清宮派が、その餞に力尽くで票を掻き集めたって。」
白ワインに唇を付ける。
なんだ。これも、味がしない。
眞「妻帯者になると、途端にランクが下がるのが宿命だもんね。その前に、何としてでも八坂さんに勝たせてやりたいっていう。」
廣「ランクランクって・・・本人たちより、女性社員のためのイベント化してるな。」
眞子は、溜息を吐く廣井さんを刺すように睨んだ後。
眞「八坂さん、何か反応ありました?」
廣「あるわけ無いだろう。ていうか、あいつは多分こんなの見てもないから。」
グラスの縁に残ったリップを拭った。
見ても、ないのか。
あの人なら、そんな気もする。
何故か少し、胸が軽くなった。
眞「気にもしてないなんて・・・嗚呼〜〜やっぱ真の王者ですよね!!!かっこよすぎる!!!涙
殿堂入り逃したのは、残念だけど。」
廣「江里も、多分気にしてないと思うけど。」
そうだ、エリー。
二位だなんて凄い。
それも、八坂さんを差し置いて。
眞「そうなんですよ!今年のダークホースは、完全にエリーだよね。やっぱ社長賞とエリア優秀賞のダブル受賞が効いたか・・・。」
廣「げ、そんなのも関係してくるのか。」
眞「その点、八坂さんは最近目立った活躍ないもんね。営企に行って、若干現場離れた感あるし。」
廣「目立った活躍、ね・・・。」
少し遠くなった廣井さんの視線が気になる。
眞「まー、そんなのなくても八坂さんは鬼スペクタルイケメンってだけで存在意義あるんですけど!私ももちろん八坂さんに清き一票♡」
だけど、それも眞子の一言でさっきの呆れた色に戻ってしまった。
廣「そうなの?親友・江里の祝勝会だとか言うから、てっきりあいつに入れたのかと思ってたよ。」
眞「恋と友情は別!____________あ、でもないか。友情が恋になることも、あるよね?」
上目遣いにほくそ笑まれて、思わず白ワインを噴き出しそうになる。
けど、実際に派手に咳き込んだのは。
なぜか廣井さんだった。