目に浮かぶ、柊介の姿。
今まで、このイケダンランキングを気にしている素ぶりはなかったけれど。
負けず嫌いの柊介が、気にしてなかったわけないな。
クスリとしてしまう。
眞「おめでたい人だよね。本当の覇者は、十和子だっつーのに。」
『私?』
運ばれた、マッシュルームのアヒージョ。
香ばしい香りに、白ワインが欲しくなる。
廣「下品な言い方はやめなさい。汗」
眞「だってー!トップ3の男を制覇した十和こそが、本当の覇者じゃないですか。」
走る、嫌な予感。
眞子のカバン先から「SUN!」が覘いているのに気付いて、慌てて引き抜いて広げた。
『こっ、これは・・・。』
婚約破棄報道のせいで、すっかり忘れていた。
本年度の、日帝商事 イケダンランキング。
眞「あ、廣井さんバゲット頼んで。」
廣「ハーフでいい?」
扱き使う眞子の声も、扱き使われる廣井さんの声も遠くなる。
『嘘でしょ・・・、』
後が続かない。
軽い目眩。
眞「あれ?十和、まさか今初めて見てる?」
二位のページに。
サッカーボールを追う、さながら少女漫画から零れ落ちたようなエリーが居たからじゃない。
三位のページに。
一位、二位よりずっと小さく。
“社内史上 最高の男”が頬杖を突いていたから。