覗き込む画面は、何やらグラフが沢山並んでいて。
眞子は、「会社にはいないかも」なんて言ってたけれど。
エリーは本当に、仕事中の様子だった。



『すごいね・・・日曜のこんな時間に仕事?』

「仕事、ってほどでもないんだけど。明日の役員会議用で、思い付いちゃったからちょっとね。」

『役員会議って、牧さんの?』

「うん。藤澤も出る?」



首を振る。

私は、出ないけれど。
下期の営業方針を決める、重大な会議だ。
各部から選ばれた社員しか参加出来ないはず。
その中でも、資料を使ったプレゼンの時間が与えられているなら尚のこと。



遠く感じるほどの活躍。
その裏側を、日曜のオフィスで垣間見た気がした。




「で?藤澤こそ、こんな時間にどうした?」


爽やかに向けられた矛先に戸惑う。


「忘れ物?」


忘れ物、ではないよね。
探し物、ではあったかもしれないけれど。



『まだ、仕事残ってる?』


今更、慮ってみたのだけれど。


「いや、もう終わるとこ。ちょっと待ってて、送ってく。」


即、PCを落とすエリー。

そうだな、ここで立ち話すよりかは。
ちゃんとした場所で、落ち着いて聞いてもらった方がいいかもしれない________








そんな、つくづくにも甘えた気持ちは。

エリーが立ち上がる瞬間、僅かに顰んだ眉と崩れた姿勢に。





________粉々に、打ち崩された。





私の代わりに負った傷。

引きずる足は、負わせた足枷。







逃げちゃ、駄目だ。
一刻も早く、伝えなきゃと思って来たんじゃない。





「忘れ物なら、秘書課覗いて帰ろ、」

『別れたの!』

「え?」