私の涙に気付いたエリーは、顔色を変えて。
血相を変えたその姿に、今度は私が慌てる。



『違うの違うの、これは大丈夫なの、』


そう言ってるのに、ポロポロ涙が止まらない。
臆病には人一倍自信がある私。
よっぽど怖かったんだと、今更認める。



「どうした?何かあった?」

『なんでもな、』


慌てれば慌てるほど、涙が堰を切ったよう。
不謹慎にも、エリーの心配が嬉しくて。


『ひっ、・・・』


手首に触れる掌が、泣けるほど熱くて。







「柊介さんか。柊介さんと何かあった?」


やっと、涙が引っ込む。
柊介絡みで泣いてるなんて思われたら困る!

後で、別れたって伝えた時に。
辛くて泣いたんだと、誤解されてしまう。



『違うっ、柊介とは全然何も!ていうか大丈夫!これは、その、ちょっと、』

「ちょっと何?」


エリーの逃がさない瞳に。


『真っ暗で・・・あんまり、怖くて。』


素っ頓狂な事を言ってしまった。


「怖いって・・・ここが?」

『うん。ここ、が。』




相変わらずの暗闇を破ったのは。



「俺の方が怖いわ!笑」


エリーの吹き出した笑い声だった。


「いきなり立ってるんだもん、焦るわ!笑」

『お化けかと思った?』

「いやいや、藤澤だっていうのは分かったんだけど。」

『本当に〜?』

「うん。けど、まさか会えるなんて思ってないからさ、」



目尻に浮かぶ、笑い涙に。



「夢かと思った。」



ストレートな笑顔に、胸が鳴く。